文学の世界で確かな地位を築いてきた朝井リョウさんは、じつは執筆活動のかたわらで本格的なダンスにも取り組み続けています。大学時代から続くその活動は、単なる趣味の域を超え、創作の源泉として深く関わっていることがわかってきました。
この記事では、朝井リョウのダンス活動と、作品との接点を紐解きながら、彼の作品の魅力をより深く掘り下げていきます。
この記事を読むと、以下のことが理解できます。
朝井リョウのダンス活動とは?
早稲田大学在学中にストリートダンスサークルに所属していたことはよく知られていますが、実は社会人になってからもダンス活動を継続しており、2025年にはSpotify O-EASTという1300人規模のステージに出演しています。
共演したのは、作家・柚木麻子さんやでか美ちゃんなど、多方面で活躍する表現者たち。ハロー!プロジェクトの楽曲を踊るなど、趣味の域を超えた本格的なパフォーマンスで話題を集めました。
ダンスと作家活動の相乗効果
朝井さんはダンスを「趣味」としてだけでなく、創作へのモチベーション維持にも役立てています。特に『正欲』や『生殖記』のようにエネルギーを要する長編を書いた後には、身体を使って表現する時間が心のリセットにつながっているとのことです。
「踊っている自分が、過去の作家としての実績によって面白く見える。そのことに喜びを感じた」と語っています。
このように、踊ることで創作意欲が生まれ、創作することで表現の幅が広がる、という好循環が成立しているのです。
ストリートダンスの技術とジャンル
大学時代はロックダンスというジャンルを主に踊っていました。これは体の一部を弾くような動きを繰り返すスタイルで、音楽とリズムを強く意識する表現です。コンテストにも出場していたことからも、単なる「大学の思い出」ではなく、技術を磨く努力をしていたことがうかがえます。
「リア充」批判を乗り越える表現
一部の文学ファンや作家志望者の中には、ダンスという“陽”の活動と、作家という“陰”の仕事が結びつかないと考える人もいます。しかし朝井さんはそのイメージを意図的に壊すことを選びました。
「文系学生がバカにしがちなダンスサークルにあえて入り、そこで作家デビューしたかった」と語っており、自分の存在そのものを問いかけに変える強い意志が感じられます。
朝井リョウのおすすめ作品
朝井リョウさんの作品は、青春小説から社会派長編、エッセイまで幅広いジャンルにわたります。以下は特に評価が高く、初めて読む方にもおすすめできる代表的な作品です。
これらの作品は、Audibleでも多数配信されています。
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朝井リョウのダンスが作品に与える影響
武道館とイン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ作品の中でも、ダンスやアイドル文化に関わるテーマを扱ったものとして『武道館』と『イン・ザ・メガチャーチ』が挙げられます。特に『武道館』では、アイドルとしての自己表現と社会からのまなざしのギャップを描いています。
『イン・ザ・メガチャーチ』では、ファンダム経済を仕掛ける側・巻き込まれる側・かつて巻き込まれていた側という3視点で、現代社会の構造を浮き彫りにしました。これらのテーマには、踊る身体性やステージ上の感情が反映されていると見てよいでしょう。
複数視点による群像劇形式
朝井作品の特徴のひとつが、多視点で語られる群像劇形式です。『何者』『どうしても生きてる』『イン・ザ・メガチャーチ』などでは、登場人物の立場や感情が丁寧に描かれ、それが物語の深みに繋がっています。
この多視点構造は、ダンスのような“協調しつつも個が立つ”表現に近いものがあり、朝井さんの身体感覚から来ている可能性も考えられます。
ダンスと青春小説の共通点
『桐島、部活やめるってよ』『もういちど生まれる』『チア男子!!』など、朝井さんの青春小説は、身体を使って自己を表現することの大切さが描かれています。ダンスもまた、他者との関係性の中で自己を見つめ直す行為であり、共通するテーマ性が見られます。
Audibleで聴けるおすすめ作品
朝井リョウさんの文章はリズムがよく、耳で聴いても心地よいのが特徴です。以下の作品はAudibleで聴き放題対象となっており、忙しい方や読書に慣れていない方にもおすすめです。
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