ミステリーとユーモア、そして緻密な伏線回収で読者を魅了する作家・伊坂幸太郎。その中でも特に人気が高いのが、「殺し屋シリーズ」です。
この記事では、伊坂幸太郎の代表作ともいえるこのシリーズを時系列・登場人物・世界観の繋がりから徹底的に解説します。シリーズをまだ読んだことがない人も、すでにファンの人も、この記事で伊坂ワールドの全貌を理解できるでしょう。
この記事を読むとわかること:
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズとは
シリーズの概要
伊坂幸太郎の「殺し屋シリーズ」は、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX(アックス)』『777(トリプルセブン)』の4作品を中心に展開されています。いずれも「殺し屋」を主人公や主要人物に据えながら、人間の業や運命、偶然の連鎖を描く群像劇です。
これらの物語は、直接的な続編というよりもゆるやかに繋がる同一世界の物語。登場人物が別の作品に脇役として再登場したり、過去の出来事がさりげなく言及されたりと、まさに「伊坂宇宙」を構成する重要なシリーズです。
シリーズの読む順番
シリーズを初めて読む人には、以下の順番がおすすめです:
- グラスホッパー(2004年)
- マリアビートル(2010年)
- AX(アックス)(2017年)
- 777 トリプルセブン(2023年)
この順番は、発表順=時系列順であり、キャラクターの成長や過去のエピソードの理解にもつながります。
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殺し屋シリーズの登場人物と世界観
鈴木・蝉・鯨(グラスホッパー)
最初の作品『グラスホッパー』では、復讐に燃える元教師・鈴木と、プロの殺し屋である蝉・鯨が物語を動かします。三者三様の価値観と手段が交錯し、「死」と「赦し」をテーマに展開されます。
蜂・檸檬・木村(マリアビートル)
続く『マリアビートル』は、新幹線の中という密室で繰り広げられるサスペンス。不運な殺し屋・木村、冷静沈着な檸檬と蜜柑のコンビ、そして少年の存在が複雑に絡み合います。ユーモアと残酷さのバランスが絶妙です。
兜・妻(AX アックス)
『AX』では、家族思いの殺し屋・兜が主人公。普段は恐妻家の夫でありながら、裏では冷徹な暗殺者という二面性を持ちます。殺し屋シリーズの中でも最も人間味のあるドラマが描かれています。
777(トリプルセブン)と新たな展開
『777』では、過去作の人物たちが再登場し、シリーズ全体を総括するような構成となっています。伏線の回収と意外な繋がりが多く、長年のファンも唸る内容です。
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伊坂幸太郎作品に共通するテーマ
偶然と必然の交錯
伊坂作品の最大の魅力は、偶然のようでいて必然的に収束する物語構成です。殺し屋たちが互いに関わり、別々の目的で動いていたはずが、最終的に一つの真実へと収束します。
家族・愛・赦し
特に『AX』以降の作品では、「家族」や「赦し」のテーマが前面に出ています。暴力の裏にある愛情、罪を背負いながらも生きる姿が印象的です。
コメディと哲学の融合
深刻なテーマを扱いながらも、随所にユーモアが散りばめられているのが伊坂流。登場人物の会話劇や、ブラックユーモアの中に哲学的な問いが潜んでいます。
殺し屋シリーズと他作品の繋がり
死神シリーズとの関連
『死神の精度』『死神の浮力』の死神・千葉と、殺し屋シリーズのキャラが直接交わることはありませんが、同じ価値観や世界観が通底しています。死をどう受け止めるか、というテーマは共通しています。
クジラアタマの王様・ペッパーズ・ゴーストとの共鳴
『クジラアタマの王様』や『ペッパーズ・ゴースト』でも、「過去と現在」「夢と現実」が交錯します。伊坂作品全体に流れる「見えない繋がり」を意識すると、より深い読書体験ができます。
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殺し屋シリーズを読む前に知っておきたいポイント
グロテスク描写より心理描写が中心
「殺し屋」と聞くと暴力的なイメージがありますが、伊坂作品では心理や哲学的な要素が中心です。読後に「生きること」「許すこと」について考えさせられます。
伏線回収の快感
登場人物や会話の細部が、後半で見事に繋がる構成は圧巻です。一度読んだ後にもう一度読むと、新しい発見があるでしょう。
登場人物の繋がりに注目
過去作に登場した人物が、他の作品で再登場することがあります。こうした繋がりを見つけるのも楽しみの一つです。
Audibleで聴く殺し屋シリーズの魅力
オーディブルでは、プロの声優が演じる朗読で作品世界をより立体的に味わえます。特に『マリアビートル』のように登場人物が多い作品では、音声で聴くことでキャラクターの個性が際立ちます。

